Projects
2021/3/14~2021/6/28
Client: わんこうぼう
Technologies: AR, WebXR, Photogrammetry, Monocle Cloud, Monocle Gallery
3Dスキャンにはいくつか方法があり、その時の対象物によって手段を選びます。
今回の波佐見焼の3D化にあたり、乗り越えなければならない大きな問題がいくつかありました。
3D化用の波佐見焼は小さい磁器が多く、人物のようなある程度大きめの対象物の3Dスキャンを最も得意とする自社アプリの”Monocle Stracture Scanner”は適していません。
そこで、まずは小さいオブジェクトのスキャンに適していて、レーザーで3D形状を取得し、正確なサイズで3Dモデルを生成することができる”SOL Scanner”を使って3D化しました。
“SOL Scanner”で波佐見焼の3Dスキャンに挑戦です。
“SOL Scanner”にカバーをかけ、約1時間〜2時間ほどかけて上側と両横側から3方向を3回に分けてスキャンしていきます。
いくつかの磁器のスキャンは正確に3Dモデルを生成できましたが、チーズの深い穴や花瓶の中など、レーザーが届かない範囲は綺麗にスキャンできず、シンメトリーに再構築できませんでした。また、テクスチャーも光沢やつるつるさの表現にも失敗しました。
“SOL Scanner”で3D化したデータの一部は、その後の3Dモデルのクリーンアップ作業の目安として使用しましたが、スキャニング方法をフォトグラメトリ技術に変え、より良い3D化に再挑戦しました。
カメラで様々な角度から撮った何百枚もの写真をコンピューター上で特徴点を解析し、3Dモデルを再構築するフォトグラメトリ技術と”Reality Capture”を使って再挑戦です。
白くてつるつるの波佐見焼は特徴点がないため、フォトグラメトリ技術を使って3Dモデルを再構築するのは大変難しいです。
そのため、チョークを使ってオブジェクト全体にランダムに模様を作ることで、特徴をつけていきます。
プロジェクト終了後は磁器を洗うため、釉薬のつるつる部分は液体チョークの緑色、マットな部分はピンクの粉チョークで色付けし、洗いやすくしておきます。
特徴点をつけたら、正確なサイズのモデルを作成するためにスケールボードを用意し、カメラで上部、真ん中、下部と3段階に分けて、オブジェクトの周りを囲む様に写真を撮っていきます。この時、ホワイトバランスは固定しておき、手がぶれない様に気をつけ、小さい穴やオブジェクトの内部は至近距離でフォーカスして撮ります。
オブジェクトの全ての角度からの写真が必要になるため、上下や横など含めて2・3回ほど繰り返します。
撮影した2・3方向のポジションごとにフォルダを作成し、パソコン上に取り込んでおきます。
“Reality Capture”に3段階で撮影した角度ごとに新しくファイルを作成し、それぞれ写真フォルダをインプットします。
スケールボードのマーカーを検出したら、カメラ(=写真)の撮影位置を推定し、磁器のおよその3次元形状を表す点群(ポイントクラウド)を作成します。
白くてつるつるの表面に緑とピンクの素材の違うチョークで特徴点をつけたため、無事にアラインメントできました。
点群(ポイントクラウド)を作成した3つのファイルを、それぞれ3Dモデルを作成したい部分を白枠のボックスの範囲内におさめ、再構築します。
再構築した3Dモデルの余計な部分やうまく再構築されていない場所は、ツールを使って全て削除しておきます。
再構築されたらモデルのマスクをそれぞれの写真フォルダに作成しておきます。
別角度で2・3つほど再構築されたモデルを、1つのモデルにするためにマージします。
マージがうまくいくと、別角度から作られた3つのモデルが、360度カバーした1つのモデルとして再構築されます。
作成したフォトグラメトリのモデルをベースに、”Blender”を使用してモデリングし、つるつるの部分とマットな部分の違いに気をつけて、テクスチャーを作成します。
できあがった合計43個のモデルを自社開発の3Dクラウドサービス”Monocle Cloud”にすべてアップロードし、オンライン3Dビューワー上で360度から磁器の3Dモデルを確認でき、スマートフォンではARモードも楽しめるようになりました。
本物の波佐見焼と3DモデルのARを隣に並べてみました!
どちらが本物かわかりますか?
3Dモデルは、3DECとしてサイト上で見ることができ、商品の実際のサイズ感や、写真ではわからない細かい部分まで、購入前により詳細に確認できるようになりました。
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